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2013年 10月 12日
イギリスのロビン・フッド、日本の鼠小僧や石川五右衛門。オーストラリアには、ネッド・ケリーと、世界各国に義賊と呼ばれる盗賊がいますが、本書の三人組みも、そんな義賊の一派です。 黒マントに黒い帽子の三人組は、夜になると、脅しの道具を持って獲物を探しに行きます。この三人組に出会ったら、ご婦人は気を失い、犬などは一目散に逃げるという恐ろしさ。三人は、金銀宝石を山の上の隠れ家に、ざっくざく貯めこんでいました。 ある日、獲物の馬車を覗いたら、中にはみなしごの女の子だけでした。女の子は、意地悪なおばさんのところにやられ、一緒に暮らすことになっていたので、三人組を見て、おじさんたちのほうがおもしろそうと喜びます。 三人は、女の子を大事に抱えて隠れ家へ連れてゆきます。そして、貯めこんだお金でお城を買い、みなしごや捨て子を集めて、みんなで一緒に暮らし、やがてお城の周りには独り立ちしたみなしごたちが家を建て、村ができましたとさ。 さて、義賊と言えば、権威に逆らい、富めるものから盜んだお金を貧しいものに配るというのが定石で、自分のしていることに自負も自覚も持っています。が、この三人組は、ただ、盗みを働いていただけ。そこには思想や世直しの意味はありません。つまり、ただの悪党だったわけですが、みなしごのティファニーちゃんと出会ったときに彼らは変わるのです。 かわいそうな女の子に出会ったとき、初めて、助けてあげたいという善意の心が、三人の盗賊に芽生えるわけですが、この悪党から義賊へのシームレスな移行。「知らないおじさんにはついていっちゃいけない」と幼い頃は誰でも親から言い聞かされるものですが、その裏をかいた意表を衝く展開となっています。人はいつからでも変われるという、人間の可能性を感じさせてくれる、性善説に基づいたお話です。 知らないおじさんは怖いおじさんばかりではなく、怖そうに見えるおじさんが実はいいおじさんである場合もあるし、優しそうに見えるおじさんが怖いおじさんである場合もある。危険だと避けてばかりでは得られない出会いが隠れている場合もあることを教えてくれます。 そんな、物事の本質を見極める目を養うために、いろんな本を読む、映画を観るなど、人間観察の手段は多々あり、親としてはせっせとそれらを推奨するよりないのですが、頭でっかちな人間になってしまえば、それはそれで考え物。 親が必死に教え込もうとしなくてもティファニーちゃん同様、子供は良いおじさんと怖いおじさんの区別、本能的に嗅ぎ分けられる能力を持っているのだと信じたいです。 すてきな三にんぐみ
by ehonblog
| 2013-10-12 12:20
| 2歳9か月
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