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2013年 11月 26日
将来これを目指す! と言うと親に止められる職業といえば、詩人(文学者)、絵描き、ミュージシャンでしょう。反対される理由の第一は、金にならないから…。つまり、食えないから。 さて、『フレデリック』で金にならない三大職業のひとつ、詩人的生きかたの素晴らしさを描いたレオ=レオニが、絵描きについて描いたのが本書。かなり期待して読んだところ…なんでしょう、違和感でいっぱいです。その違和感の正体はなんだろうと、ここしばらくモヤモヤと考えていたのですが、なんとなくわかってきました。 まずは簡単にあらすじを。 貧しいねずみ夫婦にはマシューという息子がいました。貧しい夫婦は息子に、将来は医者になるだろうと期待をします。ある日、マシューは美術館へ行き、その晩マシューは夢を見ます。大きな素晴らしい絵の中を歩いている夢。目が覚めて自分のいる屋根裏部屋の侘しい光景にマシューは涙を浮かべますが、屋根裏部屋のガラクタが魔法のように形を変え、色が輝き始めます。マシューと絵(抽象画)との出合いです。そして、マシューは絵描きになると両親に宣言し、絵描きになります。一生懸命仕事をし、マシューは有名になり、世界中からねずみたちがマシューの絵を見に、買いにやってきます。そして、彼の描いた一番大きな絵は、いまでは美術館に飾られています…とさ。 うーん。『フレデリック』のリリカルさとのエライ違い…。まず第一の違和感。息子が医者になれば「あさ ひる ばん、パルメザン・チーズが たべられる」という俗っぽい両親、そして、その両親の子供が芸術家になるという不思議…。第二の違和感は、「ぼく、えかきになる!」と両親のところへ走っていったマシューへの両親の反応ゼロ。通常であれば、絵描きなんて儲からない、医者になれ!うんぬんの一悶着があるのが自然の流れ。しかし、それがない。そして、絵描きとしての大成功。さらには、かわいいねずみニコレッタの登場と唐突な結婚。 この違和感を一言で言い表すならば、「世俗的である」というのがぴったりかもしれません。レオ=レオニといえば、哲学めいた教訓譚と思っていたのに、この『マシューのゆめ』はやけに俗っぽい。特に、美術館に飾られている絵が、肖像画から抽象画になっていくあたり、絵画の歴史に忠実すぎて、それを鑑賞しているのがねずみだというのが不思議なくらいのリアリティがあります…。 レオ=レオニが、なぜ、絵描きの成功ストーリーを描いたのか、謎は深まるばかり。なにしろ、仕事での成功(金銭的・社会的)&結婚というのは、すごろくでいえばアガリに等しい。レオ=レオニがアガリを描いたことが不思議でなりません。生きることの窮屈さ、思い通りにいかなさにほんの少し風穴を開けてくれるのがレオ=レオニの絵本のよさなのに。しかも、人生のアガリを迎えたのが絵描きであるとは。 これらの三大金にならん職業は、実は職業ではなく、「生きかた」そのものであるはずです。世の中には、昨日よりも今日、今日よりも明日、お金よりも社会的地位よりも、昨日の自分自身を追い越してゆくことに価値を見出す人々というのが確かにいて、昨日よりもいい言葉が閃いたことを喜ぶのが詩人という生きかたですし、昨日とは物事が違ったように見えることを喜ぶのが絵描き。昨日よりも美しい音の連らなりを喜ぶのが、音楽家という生きかた。もっと単純に言えば、芸術家は儲かることには価値を置いていない、ということになるかもしれません。つまり、アガリという概念はないはず…。 詩人については「生きかた」そのものである点を描いていたのに、絵描きに関してはなぜ、職業としての面が強調されているのかは、レオ=レオニが絵で職業的な成功をおさめていることと無関係ではないのでしょう。この作品、レオ=レオニ、81歳のときの作品です。他界する8年前に描かれた晩年の作品であることを考えれば、絵での成功をおさめた自分が投影されているのは納得がいく気もします。晩年を迎え、自分の絵本作家としての人生を振り返り、絵描きの成功物語を描きたくなったのでしょうか。 文芸評論の世界では、既に亡くなった作家の作品については、作品がすべて出揃っているので評論しやすいというのが一般論(もちろん、諸説ありましょうが)ですが、レオ=レオニも既に亡くなった作家。すべての本を読んでから1冊を論じる…。そういうことをしていかなければなりませんな。せめて、金にならない職業の三つ目について描いたと思われる、『おんがくねずみジェラルディン』くらいは読んでから、本書について書くべきなのですが、海外で本が手に入りにくいのでご容赦を。英語版があるじゃん、というご指摘はご勘弁ください。本を入手したら、また本書に戻って再考したいと思いますが、ここではひとまず、成功した絵描きが、すてきな絵描きを描けなくなってしまった残念な例…としておきましょう。ただ、これはわたしにとってであって、娘はこの本、気に入っております。そしてこの本は借りた本ではなく買った本ですので、あしからず…。借りられた本で文句まで言われたのでは、レオ=レオニも浮かばれないというもの。。 娘が詩人になりたい!と言っても、お笑い芸人になりたい!と言っても応援してやれる親でありたいものですが、実際にはなかなかそういう懐の深い親にはなれないのでしょうな…。 さて、現在、車でMosman方面を攻略中。Mosmanといえば、海辺の高級住宅地。オシャレなお店やおいしいお店がたくさんあります。写真は、夫がローカルスタッフのイタリア人に勧められたFourth Village Providoreというイタリアンでの一枚。カラマリとズッキーニのフリットです。 昨日の自分よりも今日の自分、今日の自分よりも明日の自分と日々進歩しているもの、それは運転技術!…と言いたいところですが、実は体重なのでした。 そりゃ、揚げ物ばっかり食べて車生活していればそうなりますわな。 □関連記事 『フレデリック』 『せかいいち おおきな うち』 『ひとあしひとあし』 『スイミー』 『じぶんだけのいろ』 マシューのゆめ―えかきになったねずみのはなし
by ehonblog
| 2013-11-26 20:15
| 2歳11か月
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