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2014年 04月 09日
日本帰任を控えて、物件を探しております。 新築がいいと思うわたしですが、オーストラリアでは、古い家がいい家なのだと聞いたことがあります。煉瓦でできていて50年くらいたっている家は高値が付くとかつかないとか。煉瓦造りの家は、エアコンの取り付けができなかったりするのだそうですが、便利さよりも、建造物としての価値のほうが優先されるのだそうです。ま、それも実際のところは、好みの問題でしょうけれどね。古い家が主人公の一冊、『ちいさいおうち』。 田舎に小さい家が建っていました。この家を建てた人は言います。「まごの まごの そのまた まごのときまで、このいえは、きっとりっぱに たっているだろう」小さい家は、朝になるとお日様を見て、夜になるとお月様を見るという生活を長い間続けていました。「まちって どんなところだろう。まちに すんだら、どんなきもちが するものだろう」。 春夏秋冬を丘の上で過ごした家は、ある日、自動車を見かけます。やがて車が増えて馬車は減り、小さい家のある丘に広い道路ができます。そして、小さい家の周りには、街ができ、駅ができ、家の周りに線路が通り、高いビルが両脇に建ち、お日様を見ることができるのは昼間だけ、夜は明るすぎて月も星も見えません。 ある日、小さい家に住んでいたおばあさんの孫が家を見つけ、小さい家は田舎に引っ越します。小さい家は、もう二度と、街に住みたいなどとは思いませんでした。めでたしめでたし。 慌ただしい都会暮らしよりも、のんびりした田舎暮らしのほうがいい・・・のかどうかは各々で考えていただくとして、この本のすごいところは、長い歳月を、わずか40数ページで描いているところです。孫が生まれるのが早くて50歳として、孫の孫の孫が生まれるのは150年後。一軒の家の周りの風景が様変わりしていく様子と、それをただ見つめる家。そして、田舎にひっこみ、住んでいる人に面倒を見てもらうことになって幸せになる。なるほど、この家はすっかり人間ですね。けれど、もしかしたら家って、もっと包容力のあるものかもしれません。 本日、Hyde Park Barracks Museumに行ってきました。1817年から19年にかけて建造された、囚人の収容施設だった建物で、世界遺産。この建物は約200歳。200年と言えば、オーストラリア建国の歴史とほぼ重なります。この200年のあいだにBarracksは、囚人の収容所(1819-1848年)、女性移民用滞在所(1848-1886年)、女性貧困者・病人の保護施設(1862-1886年)、裁判所と官庁(1887年‐1979年)、博物館(1979-現在)と、様々な使われ方をしてきました。『ちいさいおうち』が建物の外側の変化を描いたものならば、こちらは建物の内部の歴史と言えるかもしれません。 しかしそれは、歴史上の人物には到底なりえない、あまりにもささやかな人々の歴史で、たとえば、1840年にアイルランドで起きたThe Great Hungerと呼ばれる大飢饉の影響で、アイルランド人の若い女性たち(孤児)が船に乗せられてシドニーに到着したこととか、その女性たちは年取ったイギリス人と結婚することが多かったこととか、移民の就職斡旋の仕事をしていた女性が、14人の子供と夫と一緒に、移民と同じくBarracksに寝泊まりしていたことなど、歴史に名を残すことなき人々の営みが、そこにはありました。 囚人の収容所時代には平均600人の男たちが寝泊まりしていて、1848年時点で累計5万人の囚人たちを収容したことになるとか。囚人だけで5万人。その後の移民滞在所などの期間も合わせたら、一体どれだけの人々がBarracksで寝泊まりをしたのだろうと考えると、歴史の重みを感じないわけにはいきません。長きに渡って人々の生き死にを見守り、泰然として不動。家、建物というものの包容力に感じ入ります。古い建物に価値があるという考えかたが少しわかった気がしました。古い家は、もはや人間の作ったものを超えて、自然物の域に達するかのような貫録があります。 わたしたちの住んでいるアパートは、築15年くらいでしょうか。わたしよりも半年先に着任した夫が十七軒も回ってやっと見つけた家です。隣が公園なので、子供が生まれたらここで歩く練習させるんだ~と気が早いことを言ってたわりには、あれ?そんなに公園に連れて行ってくれたっけ?というのはさておき、4年半のあいだに、家具が増えて家らしくなり、娘が生まれて人がひとり増えて、友達が遊びに来るようになり…と、結婚生活はほとんどここから始まりました。 玄関の真横がキッチンな間取りは気に入らず、バルコニーからの浸水でカーペットがカビだらけになって、剥がした部分がいまだ修繕されぬままで、ブラインドは娘が壊してボロボロですが、ささやかな日常の記憶は、ほぼすべてこの家にあります。出るときは一体どんな気持ちがするのでしょうか。家のほうでも、5年近くも住んでいたわたしたちに愛着でも持ってくれているでしょうか。過去の住人へ届く配達物の宛名がいつも違うことから、Barracksの比ではないでしょうが、この家も相当数の人々の日々の営みを見守ってきたようです。オーストラリアの郵便物の転送システムってどうなっているんだ、という話はこの際置いておき、家というものに漂う許容する力を感じた一日。 ところで、この博物館、前からすごく行きたかったのですが、帰国間際にやっと行く気になったのは、オバケが怖かったからです。古い建物にはオバケがいますよね。そして、安易に歴史に思いを馳せたりすると取り憑かれます。わたしが急に英語をしゃべるようになったら要注意。ただちに、拝み屋さんを手配してください。Cheers! 下の写真は、囚人収容所のハンモックのレプリカ。ハンモックに寝そべって、当時の囚人の気持ちになってみました。Squintと呼ばれる覗き穴から監視されている感じは、なかなかスリリング。この穴、男色防止だそう。家が見守るべき人間の日々の営みには、もちろん、下世話なものも含まれています。 カウンドダウン:1 ちいさいおうち (岩波の子どもの本) ☆ランキングに参加しました!☆ どちらかひとつ↓クリックしていただけますと励みになります。 にほんブログ村 にほんブログ村
by ehonblog
| 2014-04-09 23:42
| 3歳4か月
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